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長編「ただの金曜日。」

2011.10.23 Sun
いつもの通りに起きると、iPhoneは10時を示してる。

平日のクラスのある日は7時に起きて、

休日は10時起きる。

それがいつもの習慣。

ほとんど目覚ましが要らないほどに、

正確に起きることができる。

何でなんだろう、休日に10時起きるのって。

大体その時間には、

他の3人は起きていて、

ケラケラ笑ったり、熱く議論したり、

野菜たっぷりのオムライスを食べていたりする。

でも今週は、RaphaelとKenlynが、

何とかって名前の島に遊びに行ってて、

僕とRobynしかいない。

昨日は二人で、

Boicucanagaっていうとなりの町に、

片道2レアル65セントのバスに乗って遊びに行った。

今までにも、3回くらい行ってるけど、

そこには夜の10時までやってる、

いわゆる「スーパーマーケット」がある。

(ポルトガル語では、「スーパーマーカード」)

いつもは、小さな「商店」みたいな場所で、

品揃えのセンスが、なかなかつかめない中で、

何とか買い物してるから、

たまに十分な時間と、

4人の体力に余裕がある時に、

近代的な「スーパーマーカード」に、

ピーナツバターや、サワークリームを

買いに行ったりする、

そんな場所だった。

僕のクライアントの一人が、

サーファーマガジンのカメラマンをしていて、

この前のセッションが終わった時に、

「Boicucangaにイケてる滝があるから行ってみたら?」

って、イケてる笑顔で教えてくれた。

昨日は、その滝を探すのを目的に、

Boicucangaまで行ったわけだ。

幸運にも、天気は晴れていて、

先週末の雨季を感じさせるような雨ではなかったから、

すごくうれしかったんだけど、

この辺にしては珍しく、乾燥もしていたから、

乾燥が苦手な僕のからだは、

唇にそのメッセージを出していた。

Boicucangaの中心の辺りでバスを降りたけど、

僕らの知ってる、スーパーマーカードの周りの雰囲気とは違い、

人で賑わい、「街」って感じがした。

誰でも気軽に入れる南国なバーやレストラン、

おいしい匂いを漂わせ、

「ジャポネーゼ」って呼びかけてくる出店や、

色鮮やかやアクセサリーを売る露店、

目に映る物が、

見慣れた日本とも、

1年だけ住んだアメリカとも違って新鮮だった。

30分ほど、異国情緒を楽しみながら、

・ フレッシュで、安くておいしい魚料理

・ 定員が気さくで、それでもくだけすぎない

・ 店の周りが落ち着いている

という、昨日のRobynの求めるランチ像を

提供してくれそうなレストランを探していたら、

二人して、「これだよね」って、

ばっちりとハマるレストランが現れてくれた。

入り口から、奥にビーチが見えて、

道路沿いの割にはとても静かで、

口ひげがかわいく、英語が少し話せる定員が、

席を案内してくれた。

ビールを飲むには、これ以上の条件を求めると、

ビールにも、太陽にも申し訳ないくらいの、

好条件な金曜日のお昼だったので、

口ひげな彼がおすすめする、

ブラジルのビールを注文してみることにした。

かなりお腹も空いていたので、

僕は、「X」が頭につく料理は、

ブラジルでは「チーズ」を意味すると、

片言の英語で説明してくれたということもあり、

ベーコンチーズバーガー、

Robynは、念願の魚料理を注文した。

料理が出てくるまでに少し時間がかかりそうだったから、

(外国、特にブラジルでは、サッと料理が出てきた記憶がない)

「あ、これ確かにおいしいかも」

って、彼がすすめてくれたビールを飲みながら、

ビーチを眺めたり、

SIGMA DP2sで写真を撮ったりして遊んでいた。

遠くのビーチでは、

子供たちが、

波の引き際に合わせて、

サーフボードを抱えながら波に向かって走って行き、

鏡のように砂浜に広がっている波に、

サーフボードを滑らせて、

そして自分もそれに乗っていく、

「スキムボード」なる遊びを、

何度も何度も繰り返していた。

時間がとてもゆったりと流れていて、

「君は、このゆっくりな流れを、確かに感じてるかい」

って、時間に話しかけられた気さえした。

そんな、どこにも属していない時間、

どこでもないここで、

ぷらぷらと漂っていたら、

突然「Yuta」と、聞き覚えのある名前を呼ばれて、

それが僕自身であることに気づくまでには、

少しばかり時間がかかってしまった。

結局、注文してから、

どれくらいの時間がかかったのかはわからないけど、

テーブルに、口ひげの彼が、

料理を運んできてくれた。

比較的、幅は大きいけど薄い、

ベーコンチーズバーガーと、

魚のフライだった。

Robynは、魚料理のプレートを予想していて、

僕ももちろんそうだと思っていたけれど、

実際に運ばれてきたのは、

まさに僕が飲んでいるビールに合いそうな、

いわゆる「ツマミ」な、白身魚のフライだった。

運ばれた瞬間は、やっぱり戸惑ったけど、

食べてみると、間違いなくおいしかったので、

「ま、いっか」って言いながら、

二人でそのフライを食べた。

ブラジルのレストランでは、

ビーチを眺めながら食事ができるところも多く、

長いベンチに、大きめのクッションが並べられていて、

食事した後は、そこでごろごろできたりもする。

ここのレストランにも、案の定それがあって、

最高に青い空の下、

ブラジルのビールを2本いただいてこともあり、

気づいたらうとうとと昼寝をしていた。

寝ていて、夢を見ているような、

起きていて、周りの音が全て聞こえるような、

そんな曖昧な場所が、

最高に心地がよかった。

口ひげの彼にチェックを頼み、

ついでに、滝までの道のりも教えてもらい、

レストランを後にした。

「20分ほどで着くよ、簡単」

と言っていたので、

Robynと二人で、

とても歩き心地がいいとは言えない、

Boicucangaの道を歩いていった。

「滝」という単語が、

「カショエイラ」って、カポエイラに似ているので、

二人で覚えていて、

見えてくる標識の中に、その文字を必死に探した。

とにかく、「カショエイラ」という文字がある方向に、

歩いていく。

途中、何件もの店を通り過ぎたけど、

商品の並べ方も適当だし、

そもそも、何でその商品を、

こんな人通りの少ない場所で売っているのか、

なかなか同意できないようなものがほとんどだった。

逆に、ここの人たちが、

東京のど真ん中に来たとしても、

簡単に同意はできないだろうけど。

道の幅が狭くなり、山も近くに見えてきた頃、

時計を見ると、16時を過ぎていた。

口ひげの彼にありがとうを伝え、

歩き始めたのが15時くらいだったから、

かれこれ1時間以上歩いてきた。

いくら、時間は伸び縮みするとはいえ、

20分にしては長すぎる。

でも、次々に見えてくる景色が新鮮で、

途中、カメラを持って歩くような場所じゃないところもあったりして、

なかなか刺激的で、退屈はしなかった。

突然、

「Look at that!!」

と、Robynがきらきらした目で、

何かを指さしたので、

そちらに目をやってみると、

きれいな川が見えた。

川では、3人の地元の子供たちが遊んでいて、

無言で川の中を見つめていた。

ふと、小学生の頃に、

母親の実家の桧木内で、

箱メガネとモリを持って、

一日中カジカ採りをしていた自分を思い出した。

彼らは、箱メガネもモリも持っていなくて、

カラフルなサーフパンツに、

銀色のデカめのネックレス、

ニューエラのキャップをかぶっていて、

小学生の僕とは、大分違っていたけど、

それでも、同じように魚を探していた。

なぜうれしいのかはわからないけど、

こんな地球の裏側のブラジルで、

歳も大分離れた子供たちが、

自分と同じように魚採りに夢中になっている、

そんな事実が、

彼らと僕とを結びつけてくれたような気がしたのかもしれない。

遠いってのは、どんな感覚なんだろう。

滝の雰囲気も出てきて、

前に進む足取りも、大分軽くなってきた。

家が立ち並び、でこぼこした土の道路を歩き、

たまに近寄ってくるストレイ・ドッグに話しかけ、

分かれ道も直感で進んでいく。

二人とも、直感だけで生きてきたタイプだから、

気が合うんだけど、

さすがに見ず知らずの土地で、

ケータイも、言葉も通じない状況で、

「直感だけで行くには、何だか怪しい」という直感がしたので、

「カショエイラ?」

と、試しにおじさんに聞いてみた。

明らかに違う方向を、

とてもにこやかに指さしてくれた。

やはり、直感はいつも正しい。

少しのどが乾いてきたので、

適当な店に入り、ガラナジュースを買った。

お店のおじさんが、

何かポルトガル語で話してくれて、

「あっちに蛇口があるから、そこで飲み口を洗いな」

って言ってる気がして、

蛇口で飲み口を洗った。

ブラジルの缶ジュースは、

ほとんどきれいではないらしく、

みんな服の裾で飲み口を拭いたり、

ITAIPAVAってビール缶なんかは、

アルミホイルみたいなものでカバーされていたり、

さらには、ストローさして飲む。

この店でも、洗った後に、

ストローをくれた。

ストローで飲み物を飲むことなんて、

いつ以来だろう。

ちょっと今は、思い出せない。

店のおじさんにしても、僕にしても、

お互いに、お互いの言ってることがわかんないけど、

何だか通じたような気がした。

こんなブラジルの田舎町で、

しかも観光地でも何でもないところに、

日本人が来ることなんてあっただろうか。

そもそも、おじさんは日本人を見たことがあったのだろうか。

そして、おじさんはこれから日本人に会うことがあるのだろうか。

もしかしたら、ブラジルだから、

日本人の友達や、親戚がいたりして、

結構会っているってこともあるかもしれないけど、

もしかしたら、彼の人生の中の、

最初で最後の日本人になった気もして、

人生には、そんな一度あるかないような経験が、

こんな簡単に訪れることもあるし、

そして、それを僕らは気づいていない時もあることに、

あのおじさんを通して、学んだような気がした。

人生の味わい深い、その瞬間に、

僕らは、何も準備なしで向かっていき、

そして、覚えもせずに過ぎ去っていく。

夜に見る、夢みたいだ。

もう一度、きれいな川に戻った時には、

もう3人の子供たちの姿はなくて、

太陽の傾きも変わり、

川の輝きもさっきとは変わっていた。

さっきは選ばなかった方の道を、

また二人で進んでいく。

「カショエイラ?」

弟と裸足でサッカーをする少年は、

にっこりとうなずいてくれた。

どうやら今度は正しいらしい。

もう家などはなく、森の中に入っていく。

ブラジルの国旗がついてて、

なかなかイケてる青のビーチサンダルも、

ここにはふさわしくない。

道は、先週末の雨でぐちゃぐちゃだった。

川が見えて、倒木が橋になっている。

水は濁っていて、透明ではない。

少し不安になってきてもいた。

本当に、僕らは滝を見れるのだろうか。

どこに向かっているんだろう。

生まれた時から、山に囲まれた生活だったし、

遊び場も山がほとんどだった。

大きくなってからも、

旅の途中なんかで、よく山道を歩いたりもした。

「山のエキスパートですか?」と聞かれると、

何とも答えにくいんだけど、

それでも、素人ではないとは思う。

そんな僕が、どうも前に行く気がしない。

なぜなら、道がはっきりしていないのだ。

「こっちにも行けそうだし、そっちもアリかもね」

と、どっちとも取れる道が多い。

行きは別に適当に行けばいいのだが、

そうなると、帰れなくなる。

帰るために、きちんと選ばないといけない。

山の場合は、直感にはどこかに行ってもらうことにしている。

帰れなくなるからだ。

でも、Robynは直感と共にいた。

どんどん進む。

明らかな道がない。

道は明らかにあるが、明らかな道がない。

「もう戻ろう」

山も山頂近くになってから、僕がゆっくりと言った。

僕らは、戻ることにした。

青のビーチサンダルには、帰りの道がなかなか大変だった。

もう一度、川まで戻って、

「滝、どこにあるんだろうね」

「近くにあるはずなんだけどね」

なんて会話をしていたけど、

僕の中で、「滝」の思いは消えかけていた。

「温泉に行きたいな」なんて、

叶いもしない思いを抱いて、

少しでも、この中途半端な現実からは、

距離を取ろうとしていた。

そこでどれくらいの時間を過ごしただろう。

Robynが、

「もう一度トライするか、もう一生行けないのか、どっちかだね」

と言う。

僕は、トライすることにした。

とても自然な流れで。

後で振り返っても、もう僕の中では諦めていて、

道は一本明らかだったのに、

なぜトライしたんだろう。

よくわからない。

とにかく、二人で道のない道を進んだ。

枝が引っかかたり、足に何かぶつかったり、

滑って転んだり、会話がなくなっても、

気にせずに進んだ。

時間的に、トライするのは今しかなくて、

一生行けないのかもしれないのだから。

「Can you see that, Robyn?」

「Yeah…」

木々の隙間から、道のない道から、

白い線が流れているのが見えた。

森を抜けると、

静かに、力強く、

そして、確かに「滝」があった。

僕らはうれしくて、子供みたいにはしゃいだ。

ここから先のことは、ランナーズハイと言うか、

フロー状態と言うか、

覚えているようで、覚えていない。

とにかく写真をたくさん撮ったから、

写真は残っているんだけど、

記憶がうまくつかまえられない。

ただただ、うれしかった。

時間が永遠に流れていて、そして、

止まったように、一瞬だった。

フローから抜けた後は、

やはりからだは重く、

二人の足は、感情を失ったロボットみたいに、

ただただ動いているだけで、

ぐちゃぐちゃの、とてもビーチサンダルで歩くには、

適した道ではない道を歩いていった。

辺りは暗くなりかけていて、

店の明かりがよく見えた。

学校らしい建物の中では、

何かが行われているらしく、

時々歓声が上がり、

周りにもたくさんの人がいた。

僕とRobynは、疲れた足を休めるために、

バス停から少し離れた縁石に腰を下ろし、

ストレイ・ドッグを撫でていた。

黄色いバスがやってくる。

また、2レアル65セントを払い、

遊園地の入り口みたいな柵を押し抜けて、

ちょっと離れた席に、僕とRobynは座った。

途中でバスが止まると、窓の外には、

きれいな夕日が見えた。

Barra do Sahyに帰ってきた。

簡単には動いてくれない足で、

何とか家に帰ると、

Robynは残り物を少し食べ、

すぐに寝てしまった。

基本的に、4人の中で最後に寝ることが多い彼女の、

早めの夢の時間だった。

僕は、最近楽しみを見出しはじめた料理を、

いつもよりも丁寧に、時間をかけてして、

パスタを作った。

パスタは、予想よりもおいしくできて、

ビールを飲みながら、

ゆっくり食べていると、

たまに、「滝」の映像と音が見えてきた。

「ああ、今日は滝を見つけにBoicucangaに行ったんだ」

そういえば、そうだったと、

iPhoneがFridayと示しているので、

気がついた。




Yuta
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